観光特急「青の交響曲」に乗る

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■ 「上質なおとな旅」を体験する

沿線屈指の観光地、伊勢志摩への新型観光特急「しまかぜ」の成功で、近鉄は「上質なおとな旅」というテーマのもと飛鳥、吉野方面へも新しい観光特急車両を2015年にデビューさせました。それが16200系「青の交響曲(シンフォニー)」です。
この列車は大阪阿部野橋~吉野間を水曜日を除く1日2往復しています。「しまかぜ」と同様チケット取得が困難な列車で、特に午前中に阿部野橋から吉野へ向かう第1便は利用しやすい時間もあってか連日満席の状態です。今回は山下りの第2便に乗る機会(というか、わざわざ乗りに)がありましたので、前回の「しまかぜ」に続いて体験談をお話しします。
吉野駅にやってきました。「あおシン」こと「青い交響曲(シンフォニー)」に乗るためだけに吉野まで来たわけで、吉野での滞在時間は1時間弱。一般の方には信じられない行動ですがこれも鉄ちゃんの悲しき習性です。
余談になりますが吉野駅を降りて徒歩3~4分のところに、日本最古のロープウェイの乗り場、千本口駅があります。待っているのはホントにちいさなロープウェイで約3分で山上の吉野山駅に到着します。

 

■ 通勤車両を上質に改造

「あおシン」の第2便は吉野12時34分発、12時20分ごろから改札が始まりました。
「しまかぜ」とは違って地味なフェイスです。というかいつもの近鉄電車では。
実はこの車両、元々は一般車両の6200系を改造しています。塗装は違うものの、前面は前照灯や種別灯はそのままの位置で、前照灯の間にあった行先表示幕がはずされて、むしろ6200系がデビューした1974年当時の顔に近くなったような気がします。

ならば反対側の顔はしまかぜ風の顔になっているかも。と思って眺めてみましたが、やはり通勤電車の顔でした。裾も絞っていませんし、特急らしいスピーディなイメージはありません。ただゆったりと落ち着いたカラーは上質の旅によく馴染んでいます。
サイドビューです。通勤電車時代4つあったドアのうちひとつだけを残してこちらは見事な変わりようです。天井のクーラー被せは従来と同じでしょうか。

2号車は、窓も細く改造されて特急らしい雰囲気。しかしながらクロスやZが主流のパンタグラフは、6200系時代と同じ、大~きなパンタです。

 

■ 車内のこだわりは「さすが近鉄!」
「あおシン」は、1・3号車が座席車、2号車はバーカウンターとラウンジを備えたフリースペース車両からなる3両編成です。2号車では「しまかぜ」同様、軽食や飲み物などが楽しめます。
座席車の様子です。選んだのは阿部野橋寄りの先頭車、1号車です。「しまかぜ」なら前面展望が楽しめますが、残念ながら「あおシン」は前面展望はできません。おまけにモータもない制御車「ク」にあたりモータ音も楽しめないのがちょっと残念です。モータ音を楽しみたいなら吉野寄り3号車の座席を確保しなければならないのですが、3号車は通常、団体旅行に割り振っているのか満席が多いです。

ごらんのように2列×1列のゆったりとした豪華なシートが並んでいます。シートカバーには「あおシン」のロゴがはいっていますね。写真ではわかりにくいですが大きなテーブルが用意された4人掛け、2人掛けのサロンシートもあります。座り心地はたいへん良かったです。

12時34分、阿倍野橋に向けて定刻に出発しました。第1便は阿部野橋10時10分発で吉野に11時26分に着きます。食事を楽しむなら第2便はちょうど良い時間帯でしょうか。吉野川を渡り終えたあたりで、早速2号車のラウンジカーに出かけてみます。

こちらがラウンジカーです。通勤電車からの改造とは思えないくらいなかなか重厚なつくりとなっています。シートにも腰かけてみましたが、こちらも座り心地は良かったです。ただ、エアコンの吹き出し口にもうひと工夫欲しかったかなと。
バーカウンターです。生ビールサーバーが誘っていますね。日本酒も気になるところです。ここでは「あおシン」オリジナルの鉄道グッズなども販売されていて、車内でしか購入できないレアグッズもあります。
また、バーカウンターの隣にはライブラリースペースが設けられていて、沿線に関する写真集や書籍を自由に閲覧することができます。写真にはわずかにしか写っていませんがベンチも備え付けてあり、落ち着いた空間となっています。
吉野を出発後、約30分で吉野口駅に到着します。ここはJR和歌山線との乗換駅です。写真は吉野口付近を走る「あおシン」。手前の線路はJR和歌山線です。ここでは吉野線の前身、吉野鉄道時代から木材など貨物の受け渡しが行われていました。

 

■ 食事を楽しみながらリーズナブルにおとな旅を満喫

ラウンジカーに座っての食事ももちろんですが、テイクアウトも可能で座席に持ち帰ることもできます。
食事を楽しみながら、飛鳥を過ぎ、橿原神宮前に到着します。ここで吉野線とはお別れで南大阪線にはいります。
橿原神宮前駅は、1435ミリゲージと1067ミリゲージの異なる2つの線路幅が集まる駅です。京都、大和西大寺方面から走ってきた車両は吉野方面に直通することはできませんので、ここで乗り換えとなります。
吉野線は単線ですが、ここから線路は複線になり一気にスピードアップ。大和三山、二上山を眺めながら穴虫峠を越え大阪府へと入ってきます。駒ヶ谷駅を過ぎて大和川の支流、石川を渡ると列車は減速して右にカーブしながら古市駅に進入します。ここから次の道明寺駅までが、近鉄で最も古くに開通した区間で明治31年に河陽鉄道として柏原~古市間が開通しました。その後古市から富田林へと路線を延長します(現在の長野線)。道明寺駅では、現在は道明寺線として支線扱いされている柏原方面がまっすぐ延びているのに対して、南大阪線は大きく左にカーブをきります。ここからは河陽鉄道が大阪鉄道と社名を変えて大阪進出をめざした路線です。橿原神宮前から古市までも大鉄が敷いた路線で、日本の鉄道では初めて直流1500Vを採用しています。

大和川を渡り、あべのハルカスが見えてくると終着駅の大阪阿部野橋駅です。さすがに「しまかぜ」のようなワクワク感はありませんが、特筆すべきはリーズナブルな料金です。阿部野橋~吉野間は65km、近鉄の通常特急料金だと920円ですが南大阪線及び吉野線の特急料金は520円に設定されています。特別車両料金210円を加算しても、運賃990円に730円プラスするだけで上質の空間を味わうことができます。

 

 

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