国鉄型車両を訪ねて 8 「415系」
こんにちは、よこてんです。
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■ 自身、乗車機会の少ない交直両用車両
現在も頑張る旧国鉄車両、今回は交直流区間の近郊型車両415系を。といってもこの車両、管理人のフランチャイズであるところのJR西日本管内には、いわゆる生え抜きの415系は存在しません。JRに分割されてからは東日本と九州に配属されました。
1971年に製造が始まって、東日本管内では常磐線の主として長らく活躍していましたが、後継車E531系の登場により現在は引退しています。九州管内では電化された各線で活躍中です。ただJR九州の電化区間は地下鉄に乗り入れる筑肥線を除いて全て交流のため、九州内を走るだけなら交直流車両は必要ありません。では、どこにこの車両が必要なのでしょうか。
それは関門トンネルです。関門トンネルは直流1500Vで、門司駅の構内に交流とのセクションが存在します。JR西日本との境界駅である下関駅と門司駅の間で、415系は老体ながらその威力を発揮するわけです。
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■ 関門海峡の渡し守
下関駅で、115系と並ぶ415系です。
塗装は違いますが、顔つきはほとんど変わりませんね。ただ115系は直流車ですので九州に上陸することはできません。
実は415系はもう一つの顔があり、それは昭和の終わりごろに製造されたグループで1500番台として区別され現在も九州内で活躍中です。
門司港駅に停車中の1500番台です。顔つきは直流車の211系と同じ顔をしています。したがって別形式を名乗っても良いはずですが、制御方法が211系は界磁制御を採用、415系1500番台は従来通りの抵抗制御を採用しているため、同形式となっているのだと思います。
415系の特長を発揮できる関門トンネルですが、見たところは上り線、下り線がそれぞれ敷かれた複線のように見えます。しかしながらこの区間には特長があって、「単線並列」で線路が敷かれています。通常の複線ならば、保守、点検の際、片方向の列車しか運転できません。しかしながら単線並列だと、残された線路で上下線の運転ができるというメリットがあります。関門トンネルは、本州と九州を結ぶ動脈であり、迂回する線路もありません。海底トンネルであることによる保守面からみてもこの方式は極めて有効だといえます。厳密には通常時に複線として使用している区間は、「双単線」とよばれます。
ちなみに、海底トンネルとして青函トンネルもありますが、こちらはなぜか双単線の設備を持ち合わせていないのは驚きです。これから先どのように保持していくのか。新幹線の運休がなんとなく目に浮かびます。
関門トンネルを通過中の車内の様子です。113系と同様のセミクロスタイプとなっています。
写真は0番台で、できればこのほうが嬉しいですが、オールロングシートの500番台も存在します。1500番台はオールロングシートです。
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■ JR西日本に変わり種が存在した
冒頭、JR西日本管内に生え抜きの415系は存在しない、と申し上げました。生え抜きでない415系が石川県の七尾線に800番台として存在します。七尾線電化時に登場しました。
この800番台、元々は直流車の113系でした。
七尾線は直流電化のため113系で走ることが可能ですが、分岐駅の津幡から金沢まで乗り入れるには、北陸本線が交流電化のため、変圧機器を搭載した交直車が必要となります。
結果、他車から不要になった機器を流用して交直車に改造しました。
譲った車両は485系です。特急「雷鳥」で長らく北陸本線を走り続けてきましたが、681系の登場により運用を離脱、福知山線の特急「北近畿」として再び走り始めます。福知山線は直流のため変圧システムを譲ることになりました。直流車となった485系はこのとき183系に形式変更されています。
七尾線の415系の800番台ですが、車齢もかなり古く2020年度中に引退が決まっています。
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