鉄道の父が生まれ育った駅へ 「萩駅」

こんにちは、よこてんです。
いつもご覧いただきありがとうございます。

■ 乗り鉄の悲しき習性

前回は「DLやまぐち号」に乗車しました。終点津和野に到着後、一般の方なら山陰の小京都を散策するのが常識ですが、われわれ「乗り鉄」の津和野滞在はわずかに30分。何を思ったか、津和野13時38分発、特急「スーパーおき3号」に乗り新山口方面に引返すのです。まさに非常識です。
約1時間の乗車で山口駅に到着しました。乗車したのは2001年に登場したキハ187系、老朽化のキハ181系を置き換えた山陰路の俊足ランナーです。車体はステンレス製で軽量化、省力化がはかられています。
実はわたくしキハ187に乗るのは今回が初めてでした。写真を見てもおわかりのように「特急」でありながらインパクトのない残念な顔です。
実際に乗ってみた率直な気持ちを申し上げますと、まず、エンジン音がややうるさく感じました。出力も以前よりはUPしているわけですし、高速でカーブや急坂を克服しなければならない現状はあるとは思いますが。
そして、乗った位置は車両中ほどでしたが、山口に降りる際、床に置いていた荷物の底を触ったらかなり熱をもっていました。思うに、軽量化の影響なのか床面が薄いのではないか。
もう一度乗りたいか、となるとちょっと疑問符が付くそんな車両でした。

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■ 県庁所在駅で下車

山口駅です。新山口駅に新幹線や山陽本線が通るためやや淋しい感もありますが、県庁所在駅、市の代表駅でもあります。
この山口駅、他の駅にはないこの駅だけの特長があり、それは県庁所在駅でありながら地方交通線内に存在するということ。全国でもここだけだそうです。

ここからわたくしたちは、しばらく鉄道をはなれ、JRバスで「鉄道の父」が産まれ育った場所に向かうことにしました。

 

■ 洋風の瀟洒な駅舎


路線バスに乗ってやってきたところは萩駅です。萩には旅行などで何度か訪問していますが、萩駅に関してはやや町の中心部から離れており、こうやってじっくりと訪問したのはこれが初めてです。優等列車も隣の東萩駅に停車していましたね。
元々は大正14年に建てられ、現在の建物は平成10年に当時の姿に復元されたのだそうです。平成8年に有形登録文化財に指定されています。
駅前はロータリーが整備されていました。遠ざかっていくバスが見えますが、このバスが山口駅から乗ってきたバスで、ここから萩市内中心部を抜けて東萩駅まで向かいます。バスの通る直線に延びる道が、江戸時代に整備された「萩往還」です。あとで知ったのですが、乗ってきた路線バスはちょうど「萩往還」を辿るように走ってきたようです。

■ 「鉄道の父」が見守る駅


駅前のロータリーにはD51の動輪が置かれていました。その向こう側、スコップを手にした井上勝の銅像が見えます。

井上勝は1843年8月25日に、ここ萩市に生まれ、いわゆる「長州五傑」のひとりです。「長州五傑」とは、井上勝のほか、初代内閣総理大臣、「内閣の父」伊藤博文、「外交の父」井上馨、「貨幣の父」、遠藤勤助、「工業の父」山尾庸三の5人で、日本の近代化を語るうえで重要な人物ばかりです。そのなかで井上勝は「鉄道の父」と呼ばれ日本の鉄道の礎を築きました。

 

明治時代、日本には当然鉄道技術はありません。イギリスから技師を招いて建設にあたります。鉄道の軌間(ゲージ幅)は1435ミリが世界標準軌で新幹線や私鉄の多くが採用していますが、日本が最初に採用したのは1067ミリの狭軌でした。そして現在に至るまでこの軌間を採用しています。なぜ車両の大型化や輸送量アップにつなげられる1435ミリを採用しなかったのでしょうか。これは、険しい山地の多い日本の国土が関係しているとされ、工費を抑えることができる1067ミリを採用したとされています。確かにトンネルの断面も小さく、枕木の長さも短くてすみますが、実際のところ1067ミリを採用した経緯はよくわかっていません。

イギリスでは1067ミリは鉱山鉄道など低規格の路線に採用していたのは事実です。当時の日本を格下に見ていたのか、それとも本当に狭軌のほうがメリットがあると思い推奨したのか。

駅ナカはご覧のように展示室となっていて、「萩市自然と歴史の展示館」というかたちで公開されています。こちらは元々の駅務室にあたる場所で、出札口から待合室を見たかたちになります。
写真の右側がかつての改札口にあたります

閉塞装置も展示されていました。

駅本屋につながるのは降車用の改札口でしょうか、よい雰囲気を醸し出していますね。
ホームから眺めた駅舎はこんな感じです。なかなか趣がありますね。

■ 普通列車で長門市方面へ

長門市行きの普通列車がやってきました。

現在、一日を通して萩駅にやってくる列車は上下合わせても普通列車のみの16本。列車だけを乗り継いでこの駅を訪れるにはやや厳しい感はあります。なお、不定期ながら「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」がやって来るとのことです。

コロナ禍でわたしたちの鉄道旅行も窮屈です。「鉄道の父」ならばどんな手を打ってくれるのか。ちょっと聞いてみたい気もします。

 

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