小刀根隧道を訪ねる

こんにちは、よこてんです。
いつもご覧いただきありがとうございます。

前回は、地すべり地帯から偶然発見された「亀の瀬隧道」を訪ねました。
明治時代に造られたトンネルは、レンガが使用されることでたいへん美しく、
同時に当時の技術力にも感心させられますね。現在もなお使われているものも多数あるはずです。

今回は、かつて鉄道トンネルとして使用され、現在は生活道路として余生を送る、歩いて通り抜けることができるトンネルとしては日本最古とされている「小刀根隧道」を訪ねてみます。

 

■ 県境の長大トンネルは今もなお現役

米原から敦賀に向けてはJR西日本の北陸本線が延びています。

かつては、福井、金沢、富山を経由して直江津までを結ぶ長大な本線でしたが、北陸新幹線の敦賀開業により敦賀以北は第三セクターへと移行、北陸本線という名前ながら北陸地方を走る区間は新疋田~敦賀間の僅か一駅区間となってしまいました。

その北陸本線、木之本駅を出ると左にカーブ、余呉湖を巻き込むように走っていきますが、実は開業時、木之本駅から真っすぐ線路を延ばし柳ヶ瀬方面へと向かっていました。現在、そのルートを国道365号線が通っています。そして国道と並走するかたちで北陸自動車道も敦賀方面へと延びていますが、今回の訪問先はまず、この国道365号を北上します。

近江地方の平野部は木之本を過ぎた辺りで終わりを告げ、北陸へは厳しい山間部が待ち受けます。「北国街道」国道365号は椿坂峠、栃ノ木峠と難所を越えていきますが、山間部に分け入ったあたりで「↗敦賀」という道路標識が現れます。ここからは県道140号線を行くことになりますが、しばらく走るとトンネルの入り口が見えてきます。


入り口に信号機がある不思議なトンネルです。内部は幅が狭く対面通行となっています。この写真のタイミングは向こうからの対向車が通過するのを待っているところ、となります。

実はこのトンネルは「柳ヶ瀬トンネル」と言い、旧北陸本線のトンネルです。
滋賀県の福井県の県境に位置していて明治16年に開通、全長1352mは当時の最長トンネルでした。
昭和32年に、前述した現在の北陸本線、新線が開通しこちらは支線「柳ヶ瀬線」として営業していましたが、
昭和39年に柳ヶ瀬線がバス路線に変更されこの時点で鉄道トンネルとしての使命を終えました。しかしながら地方道として流用され現在も現役で使用されています。

長浜~敦賀間は明治15年に開通しています。ただ、この柳ケ瀬トンネルは、その長さはもちろん大変な難工事であったようで、この区間は同時に開通とはならず徒歩での連絡となりました。

 

■ 現存する日本最古のトンネル

柳ケ瀬トンネルを抜けると県道は高度を徐々に下げ国道8号線との合流地点「疋田」へと向かっていきますがその途中で今回の訪問先、「小刀根隧道」の看板を目にすることができます。
その少し手前に、刀根川にかかる道路があります。よくみると橋脚、プレートガーダーは「いかにも…」と言った感じ。
おそらく北陸本線の廃線跡ではないかと思われます。

看板を目印にやや県道を外れると、長さは短いながらも重厚なトンネルが見えてきました。

全長は56mですが、明治14年に開削された現存する日本最古のトンネルです。日本人技術者だけで造られており、当時の技術力の高さを象徴するものとして、前述の柳ケ瀬トンネルとともに土木学会選奨土木遺産に認定されています。
上の写真が敦賀側、下が柳ケ瀬側口で、柳ケ瀬側からは幅を拡張されて現在も県道のトンネルとして使われている刀根トンネルと直線で繋がれているのも技術力の高さを示すものとされています。


敦賀側の扁額には「明治十四年」の文字が刻まれています


内部は歩いて通ることができます。壁の部分イギリス積み、上部は長手積みでレンガが美しく積まれています。ご覧のように煙の煤がしっかりと残っていて、かつてSLが苦労してこの区間を走行していたことが実感できます。

 

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柳ケ瀬側の法面はしっかりと石が積まれ補強されています。

敦賀は、北前船の寄港地として繁栄してきました。
鉄道の早い開通は、明治政府も重要な場所と認識していたのでしょう。
そして特筆すべきは、当時のヨーロッパとの国際連絡列車が走っていたこと。明治45年から東京新橋を出発して、このトンネル群を抜けて敦賀港から連絡船でウラジオストックへと渡り、そこからシベリア鉄道でヨーロッパまで一枚の切符で行くことができました。ただ、一か月もかかる長旅であったそうです。

トンネル内を歩きながら、そんな華やかな列車が「小刀根隧道」を通り抜けていったのかと思うと、なんとも不思議な気分を覚えました。

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