「フルムーン夫婦グリーンパス」でゆったりと大人旅
こんにちは、よこてんです。
いつもご覧いただきありがとうございます。
前回は、九州を巡りました。車窓、車両はもちろんですが、優雅にグリーン車も楽しませていただきました。その時使用したきっぷが「フルムーン夫婦グリーンパス5日間用」でした。
それはどのようなきっぷなのか。今回はこの魅力あるきっぷをご紹介させていただきます。
あわせて、2日間九州を巡ったその前の3日間、このきっぷを使って私たちは東北を訪れました。ほぼ「乗り鉄」に近いこの乗車記も後程紹介させていただきます。
(※ 「フルムーン夫婦グリーンパス」は、2022年秋より設定の告知がなく事実上廃止となった模様です)
■ 「フルムーン夫婦グリーンパス」ってどんなきっぷ?
フルムーン夫婦グリーンパス(以下フルムーンパス)は、年齢が合計88歳以上の夫婦であれば、JR線のグリーン車(一部を除きます)が乗り降り自由となるきっぷです。したがって平均44歳以上なら使用できます。極端な例で言うなら片や60歳なら、もうおひとかたは28歳で良いのです。
フルムーンパスの歴史は古く国鉄時代の1981年に販売が開始されました。今年でなんと40周年です。
発売期間は今年を例にとりますと、2021年9月1日から2022年5月31日まで、そして利用期間ですが、2021年10月1日から2022年6月30日までとなっています。
夏場の7~9月は発売されていないことがわかるかと思います。ここで注意したいことは発売期間と利用期間が1か月ずれていることです。例えば6月にフルムーンパスを使って旅行をしたい場合は5月31日までに購入しておく必要があります。
また、2021年12月28日から2022年1月6日、2022年3月21日から2022年4月5日、2022年4月27日から2022年5月6日の、いわゆる年末年始、春休み、ゴールデンウィークの期間は利用できません。そしてこのきっぷの有効期間内であっても利用できません。また有効期間の延長もありませんのでご注意ください。
■ 「フルムーン夫婦グリーンパス」の有効日数とお値段
次にフルムーンパスの種類とお値段です。5日間用、7日間用、12日間用の3種類があります。この他の日数、例えば「6日間」や「9日間」などの設定はありません。
一般用 | シルバー用 | |
5日間用 | 84,330円 | 79,330円 |
7日間用 | 104,650円 | 99,650円 |
12日間用 | 130,320円 | 125,320円 |
シルバー用とは、夫婦のどちらかが70歳以上の場合この値段になります。
■ 魅力たっぷりの「フルムーン夫婦グリーンパス」!ですが注意点も
さて、フルムーンパスを手に入れるとJR全線、グリーン車が自由に乗り降りできるわけですが、いくつかの注意点があります。
まず、券面に記載された夫婦が同じ車両、駅などで乗ったり降りたり同一の行動をすることがルールです。一人での使用はできません。そして、紛失した場合の再発行はありません。管理をしっかりと行いましょう。
次に、東海道新幹線、山陽・九州新幹線それぞれの速達列車「のぞみ」と「みずほ」は利用することができません。利用する場合は運賃、特急料金、グリーン車利用ならグリーン料金と、その全てが必要となります。自由席も利用できません。したがって、東海道、山陽、九州新幹線はやや制約がありますが、のんびりと「ひかり」、「さくら」、「こだま」で移動ということになります。
写真は新大阪駅の東京行き「こだま」です。「のぞみ」が発着する賑わうホームを横目にひっそり一番端っこの27番線で発車を待っています。
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東北、北海道、上越、北陸新幹線は全ての列車が利用できます。ただし、この4路線で「グランクラス」を利用する場合は、運賃のみ有効で、特急料金、グランクラスAまたはBの料金は別途必要となります。
「グランクラス」に関しましてはここでは詳しくは触れませんが、1編成に18席だけ設けられた極上のプライベート空間で、シートやインテリアにこだわり、Aタイプにおいては、アテンダントによる軽食やドリンクのサービスなどがあります。
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秋田、山形新幹線は全ての列車が利用できます。
在来線に関しては特急、急行、快速、普通のグリーン車は利用可能ですが、グリーン個室やデラックスグリーンなど1部のグリーン席に関しては運賃のみ有効となっていて、それぞれの特急料金、グリーン料金が必要となります。この他、B寝台も利用可能ですが、現在定期列車でB寝台を連結している列車はありません。「急行」とも書きましたが、急行の定期列車も現存しません。また在来線で朝夕に走る乗車整理券が必要な列車(ホームライナー、おはよう、おやすみライナーなど)は運賃のみ有効で別途乗車整理券が必要です。
仮に新幹線、在来線いずれも乗車希望の列車のグリーン車が満員で乗車できなかったとしても払戻しの措置はありません。行動予定が決まれば早めに座席を予約しましょう。
その他、宮島フェリーとBRT(バス高速輸送システム)も乗車可能です。ただしJRバスは利用不可です。
■ 「JR線以外は利用できない」、と把握 例外もあるがほんの一部
JR線以外の路線、私鉄各線や第3セクター線は利用できません。前回の乗車記で乗った長崎の路面電車は「長崎電気軌道」の運営ですので、フルムーンパスで乗ることはできません。
ただ例外的に、第3セクター鉄道線を経由しなければ乗車できないJR線に向かう場合、利用を認めています。「青い森鉄道」の青森~八戸間、「あいの風とやま鉄道」の高岡~富山間、「IRいしかわ鉄道」の金沢~津幡間が該当します。何れも通過利用が条件であり、途中で下車したり或いは区間をはみ出して乗車したりすると、その全乗車区間の運賃が必要になります。
この部分に関しては申し訳ございませんが私も未経験です。予めご確認されることをおすすめします。
こちらは「IRいしかわ鉄道」の津幡駅を通過するJR西日本の特急「能登かがり火」です。金沢発のこの列車は、ここ津幡を出るとJR七尾線に入り和倉温泉まで走ります。フルムーンパスで和倉温泉まで乗車する場合、金沢から津幡まではIRいしかわ鉄道線ですが、通過利用となるため特急料金も含めて、追加運賃、料金は必要ありません。
こちらは、同じ津幡駅を出発する「あいの風とやま鉄道」の金沢発富山行き普通電車です。IRいしかわ鉄道線内ですが県境の倶利伽羅駅で「あいの風とやま鉄道」となりそちらの車両が乗り入れてきています。
では、フルムーンパスでこの列車を利用して、前回取り上げたJR氷見線に乗るため金沢から高岡まで向かったらどうなるでしょうか。
高岡から分かれるJR氷見線、城端線への通過利用は先述したように富山~高岡間となっています。金沢~高岡間は認められておらず、この場合乗車した区間の運賃を支払うことになります。
話しがだいぶ脱線しますが、津幡には久世酒造という酒蔵があり七尾線を走っていたなつかしい急行の愛称名「能登路」という銘柄のお酒があります。「呑み鉄」としてはどうしても避けて通れず訪問しました。
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この他にもこのきっぷの提示でJRホテルグループの宿泊施設が割引になるなどの特典もあるそうですが、こちらも未体験です。
このように、メリットもデメリットもあるフルムーンパスですが、移動を鉄道主体とするならばたいへん魅力的なきっぷです。
次回は、実際に使用した東北地方の乗車記をご紹介いたします。